2012年5月1日火曜日

目次

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はじめに
(1) はじめに
1. メタボリックシンドローム
(1) 健診成績と心臓病・脳卒中の関連性
(2) メタボリックシンドロームの基礎
4. 健康習慣
5. 食事
6. ストレス

. トピック

2011年3月8日火曜日

はじめに

この研究は、大都市圏に居住する勤労者の方々を対象として、日常の生活習慣や毎年の定期健康診断成績が、その後の病気発生とどのように、さらにはどれほどの強さで関係しているのかを見極め、その病気の発生を予防する手段を見つけようという目的で平成9年に発足しました。

心筋梗塞による死亡率が高い欧米諸国では、心筋梗塞に罹らないための方策を見つける目的で、第2次世界大戦終了直後からこのような研究を開始しました。心筋梗塞にかかっていない数千人の地域住民に対して健診を行い、生活習慣を知り、追跡を開始しました。 10年ないし20年経って、その間に心筋梗塞に罹った人々と罹らなかった人々の間で追跡開始前のデータを比較した結果、喫煙、血液中のコレステロール濃度が高いこと、血圧の高いことが三大危険因子として浮かび上がってきました。そして研究が進むにつれ、更に多くの要因が明らかにされてきました。これらの研究結果をもとに米国では国民自らこれら要因を減らす運動を進めてきた結果、心筋梗塞の死亡率は着実に減ってきました。

日本では昭和30年代まで高い死亡率を示した脳卒中への対策として、高血圧治療や減塩運動がなされ、年齢調整死亡率は最も高い頃の 5分の1から6分の1 にまで減少しました。このように多くの病気は、生活習慣を変えることによって予防効果がもたらされる事は既に明らかです。しかし、長寿時代の今、生活習慣の何をどのように変える事が最も有効でしょうか。

脳卒中の死亡率が減少した現在、代わってがんや心臓病の死亡率が増加しつつあり、更には、絶対数としては少ないのですが、自殺率が急上昇しているなど、国民の健康上問題となる病気は移り変わります。現在、先進国あるいは途上国を問わず肥満者の増加が世界の多くの国々での共通の脅威になりつつあります。肥満は心筋梗塞のほか、糖尿病、高血圧、ある種のがん、筋骨格系の異常など多くの生活習慣病に共通する重要な発病要因であるからです。肥満をもたらす要因の一つとして精神的ストレスも関わっているかもしれません。これらの健康障害に対して適切な対応をとるためには、病気の現状を絶えず把握することが大切で、この集団は現状を写す鏡の役割も担っています。

さらにこの研究では、平成9年、平成14年、平成25年の健診時余剰血液を保存させて頂いて、この保存血液を用いて、新たに発見されたり、新たにその役割が解明されたりした物質の濃度を測定し、生活習慣病の発生とどのような関連性を有しているかについても検討してきております。なお、生活習慣病の発生に関係している生活習慣や検査成績を明らかにするためには、生活習慣病を発病された方々と健康のまま過ごされた方々の間で、これらの成績および資料を比較検討することが重要で、生活習慣病に罹られたかどうかの調査も定期的に実施してきております。これらの解析を通して、生活習慣病の予防に役立てられるような知見が得られることを願い、努力を続ける所存であります。 

愛知職域コホート研究について

この研究は、文部科学省科学研究費補助金(科研費)基盤研究(B):事業所健診成績の有効利用による脳・心血管事故の第一次予防-データベース作成とコホート内症例対照研究(豊嶋 英明、1997年度~2000年度)を得て、1997年(平成9年)に開始されました。その後も、継続的に科研費を受け、現在は科研費基盤研究(B):退職公務員におけるフレイルと社会参加に関する在職時からのライフコース疫学研究によって継続されています。

研究の実施にあたっては、対象となった方個人から書面により、研究協力に対するご意思(同意)の有無を確認しています。同意は、アンケートの回答、健診成績の利用、健診時残余検体の保管と利用に関して個別に確認しており、その後の生活習慣病の発症に関する追跡調査の方法と定期的な実施についても同時に説明してきております。研究への同意は、調査のたびに確認することとしており、また同意を撤回する方法についても周知しています。

倫理審査について
研究の方法、特に対象となった方に対する不利益がないか、個人情報の保護がしっかりとなされているか、研究目的と研究方法は妥当か等について、名古屋大学医学部倫理審査委員会の審査・承認を受けております。また、定期的(1年に1回)に研究の経過を倫理審査委員会を通して、大学院医学系研究科長に対して報告しております。
この研究の流れは下の図に示した通りです。

※ 1 健診成績……同意していただいた方の健診成績は名大公衆衛生にコンピュータデータの形で提供されます。なお、必要に応じて、心電図、胸部レントゲン写真などは現物の所見を確認する場合がございます。またその所見変化を確定するために、平成13年度まで遡って現物確認する場合もあります。同意していただいた方の健診時の問診内容は健診成績の一部として、集計・解析の対象とさせていただきます。
※ 2 生活習慣や検査結果と生活習慣病との関連を調べるためには、健康状態を長期にわたり把握していくことが必要です。具体的には、病気の発症を把握するために、定期的にアンケートによる調査を実施いたします。また、ご在職中に不幸にもお亡くなりになったり、休業あるいは休職されたりした場合には、詳細を確認させていただきます。さらに法律などで定められている正当な手続きのうえ、がん登録からの情報提供や人口動態死因照合による追跡調査を実施いたします。なお、結果の公表にあたっては個人名が同定されることは一切ありません。
※3 ご退職後の追跡調査について …… アンケートによるものも含め、追跡調査はご退職後も実施させていただきます。追跡は、20年間を予定していますが、研究計画が見直された場合には延長あるいは短縮される可能性があります

本研究に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

名古屋大学大学院医学系研究科 国際保健医療学・公衆衛生学
466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65
電話 052-744-2127 Fax 052-744-2131
電子メール p-healthアットマークmed.nagoya-u.ac.jp (アットマークを@に変更して入力してください)

2011年1月6日木曜日

「メタボリックシンドローム」目次

「メタボリックシンドローム」のカテゴリ内にある記事の一覧です。
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健診成績と心臓病・脳卒中の関連性

この解析は愛知県の二職域のデータに基づいたものです。

研究を開始してから、平成12年8月までに19名の方が心臓病(心筋梗塞または突然死)で倒れられ(うち5名が死亡)、8名の方が脳卒中に罹られました(1名は死亡)。研究開始時点での発病者の特徴を知るため、この間発病せずそれ以前にも発病しなかった方を比較の対照として、健診成績と食習慣を比較しました。対照者は発病者と同じ職場、同じ年齢で、喫煙習慣、飲酒頻度、飲酒量が同じである人の中から、発病者1人につき3人を無作為に選びました。

 その比較成績を示した図1を見ますと、心臓病発病者は対照者に比べて、善玉コレステロール(HDLC)が40mg/dl未満の低HDLC血症、中性脂肪(TG)が150mg/dl以上の高TG血症、及び危険因子集積者の割合が統計的に見て明らかに高率でした。

危険因子集積とは、高血圧(収縮期血圧が140mmHg以上又は拡張期血圧が90mmHg以上)、低HDLC血症、高TG血症、耐糖能異常(血糖値が110mg/dl以上;IGTと表記)の4種の異常のうち2つ以上該当することを指します。なお、この基準は現在我が国で一般的に用いられているメタボリックシンドロームと同じ概念ですが、基準が若干異なります。
発病者と対照者で健診成績異常を保有する割合がどの程度異なるかをオッズ比という指標、即ち、要因のある人はない人に比べて何倍発病しやすいかという指標に直しました。その結果、低HDLC血症は4.8倍、高TG血症は7.3倍、危険因子集積は17.8倍という結果でした。

  • 肥満:Body mass Index=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が25kg/m2以上
  • 高血圧:収縮期血圧が140mmHg以上又は拡張期血圧が90mmHg以上
  • 高TC血症:TC(総コレステロール)値が220mg/dl以上
  • 低HDLC血症:HDLC(善玉コレステロール)値が40mg/dl未満
  • 高TG血症:TG(中性脂肪)値が150mg/dl以上
  • IGT:耐糖能異常(血糖値が110mg/dl以上)
  • 高UA血症:UA(尿酸)値が7.0mg/dl以上
  • 危険因子集積:高血圧、低HDLC血症、高TG血症、耐糖能異常の4種の異常のうち2つ以上該当すること

脳卒中の発病者数は心臓病に比べて少なかったため、統計的に確かな差は得られませんでしたが、肥満、高血圧、危険因子集積などの割合が発病者で高い傾向がみてとれます(図2参照)。
ただし、血圧の平均値は発病者が対照者より明らかに高い値を示しました。

なお、心臓病に対しては危険因子集積の影響が特に強く出ていましたが、この集積には臓器がインスリンというホルモンの作用に鈍感になっている状態や脂肪の内臓への蓄積などが絡み合って関与していると考えられており、この状態をメタボリックシンドローム、あるいはインスリン抵抗性症候群、内臓肥満症候群、リスク多重症候群などと呼び、現在多くの研究者が注目しています(「メタボリックシンドロームの基礎」を参照)。
一人が持つ危険因子の数の増加に伴って心臓病発病の危険が著しく増えますので、ご自身の健診成績をそういう目で見直し、予防に結びつけることが大切です。

生活習慣との関連を見ますと、心臓病発病者は対照者群に比べて、朝食を毎日食べる者の割合が低く、食事を腹一杯食べる者の割合が高いという結果でした。
脳卒中発病者でも朝食を毎日食べる者の割合が低率でした。

これらの結果からは、規則的な生活習慣の形成がこれら疾患の発病予防につながる可能性が示唆されます。
不規則な生活習慣の方には、1年間規則的な生活に切り替え、健診結果がどのように変わったかを確認されることをお薦めします。(豊嶋英明 )


[書誌情報]
豊嶋英明「職域集団で探るメタボリックシンドローム対策」『日本循環器病予防学会誌』 2007; 42(1): 1-9.
八谷寛, 玉腰浩司, 豊嶋英明「肥満の健康影響」『現代医学』 2005; 52(3): 521-6.

["メタボリックシンドローム"の記事一覧]
(1) 健診成績と心臓病・脳卒中の関連性

メタボリックシンドロームの基礎

皆さんの理想の体型はどんな体型ですか?
「理想の体型」と聞くと、皆さんはモデルさんのような体型を思い浮かべられるかもしれません。
それでは、「健康的な体型」はどうでしょう。想像する体型は人それぞれでしょうが、今回はその逆の例です。

写真はかつてより福徳円満の相として親しまれている布袋様の像です。一見してお気づきの通り、布袋様のお腹は前につきでるほど太っています。現在では、このような体型を「腹部肥満」と言い、健康の面からはイエローカードです。
それではなぜ腹部肥満がよくないのかについてご紹介したいと思います。



腹囲の分布:男性のほぼ半数は腹部肥満


図1.腹囲の分布
さて、この図1は、ヒストグラムというグラフで、横軸が腹囲を表し、棒の長さで表されているのがその腹囲を持つ人の人数です。赤い線で日本肥満学会が定めた腹部肥満の基準を表示してあり、男性では85cm、女性は90cmです。
ご協力頂いた方々の腹囲の平均値は男性で84.8cm、女性で74.1cmでした。つまり男性ではほぼ半数が腹部肥満ということがわかりました。
一方、女性で90センチの基準を超えた方は約6%でした。


男性の16%、女性の2%が「メタボ」に該当
この腹部肥満があった方々に、さらに特定の健診成績の異常が複数同時に認められた場合、メタボリックシンドロームと診断されます。
ご協力頂いた方のうち、血圧、脂質(中性脂肪またはHDLコレステロール)、血糖値の検査で図2の第二段階に示すような異常を認めた方の割合は、男性でそれぞれ48%、30%、11%、女性で28%、8%、5%でした。
腹部肥満があって、これらの異常が2つ以上重なった方をメタボリックシンドロームと診断することが決まっていますが、その割合は男性で16%、女性で2%でした。

図2 どこからが「メタボ」?

メタボリックシンドロームをなぜ診断するのか?
このように、複数の異常が集積した者では、心血管系疾患発症のリスク、すなわちその発症の危険性が著しく高いことが知られています。
実際、「健診成績と心臓病・脳卒中の関連性」の項でご紹介したように、複数の異常が集積した方は集積していなかった方に比べ17.8倍も4年間の心臓病・突然死のリスクが高かったという結果が観察されています。

したがって、こうした方々をメタボリックシンドロームと診断し同定することによって、早期に、生活習慣の改善を中心とした積極的な介入を行うことが可能になると考えられているのです。

なお、お気づきの方もあるかもしれませんが、図2の基準を注意深く眺めると血圧や血糖値の基準値は、高血圧や糖尿病の診断基準に比べより正常側に(より多くの対象が該当するように)設定されています。
これは、単一項目の値が少し高めとかギリギリというように境界域であっても、集積した場合には心血管疾患のハイリスク者として同定でき、そして生活習慣の改善を促すことができるようにするためです。


健診成績の異常の個数と腹部肥満は正比例
メタボリックシンドロームは腹部肥満と血圧、脂質や糖代謝の異常が集積した場合に診断されますが、実は、腹部肥満があるとこうした異常が集積しやすいことが分かっています。

今回のデータで、図3に示すように、健診成績の異常の個数が0個(異常なし)、1個、2個以上と増えるにしたがって、腹部肥満者の割合は男女とも増える傾向にあり、腹部肥満が原因となって、これらの異常が集積してくる可能性が高いことが示唆されました。

一方、異常が2個以上あっても男性では約30%、女性では約70%は腹部肥満がありませんでした。
女性の腹部肥満者の少なさには基準値の90cmが大きすぎるという理由も考えられますが、いずれにせよ、腹部肥満がなくても異常が集積する人も一定数存在するということは事実のようです。
ただ、異常集積の原因としては腹部肥満が主要なものと言えるでしょう。

図3

メタボリックシンドロームの予防・改善
異常の集積の原因に腹部肥満があるなら、メタボリックシンドロームの予防やその改善に腹部肥満の解消・軽減が重要であることは自明です。
腹部肥満の軽減・減量の基本は食事による摂取カロリーの制限と運動です。( 八谷寛 )


[書誌情報]
参考書誌
八谷寛, 玉腰浩司, 近藤高明, 豊嶋英明「肥満度の指標」『動脈硬化予防』 2003; 2(3): 17-23.

将来「メタボリックシンドローム」になるリスクを計算してみましょう

はじめに
「メタボ」の予防に役立つ可能性のある生活習慣を明らかにしましたので、今回ご紹介いたします。

今回の検討では、はじめに、3年間の健診成績の変化から、メタボリックシンドロームに新しくなった方を診断し、その方々に特徴的な(悪い)生活習慣の組み合わせを明らかにしました。そして、その結果から、いくつかの基本的な生活習慣の組み合わせによって、メタボリックシンドローム発症確率を簡単に推定することができるチャートを開発しました(Li 他、予防医学誌 2010年51巻2号118-122頁)。

このチャートを用いれば、あなた自身の3年後の「メタボ」発症リスクを計算することや、生活習慣を改善することによって発症をどの程度予防できるのかを推測することが可能です。


研究の方法
平成14年に実施した「生活習慣に関するアンケート調査」にご協力くださった方は男性4,317名、女性1,140名でした。
そのうち、調査後3年間にメタボリックシンドロームになった女性職員は9名だったため、今回の検討は、男性のみを対象として実施いたしました。また、この研究は、調査開始時の生活習慣がその後のメタボリックシンドローム発症にどのように関係するかについて検討するためのものであり、研究開始時に心臓病や脳卒中、がんなど生活習慣を大きく変えるような病気にかかっていた(かかったことがあった)方、また高血圧、脂質異常症、糖尿病の治療をしていらっしゃった方は分析から除外しました。さらに、調査開始時に既にメタボリックシンドロームであった方も除き、1,897名を最終的な解析対象者といたしました。


メタボリックシンドロームの診断
平成17年の健診で以下の各基準のうち、3種類以上該当された方を、メタボリックシンドロームにかかったと定義しました。なお、腹部肥満の判定基準である腹囲(ウェスト)については、平成17年にアンケートで調査した結果を用いています。

  • 腹部肥満・・・腹囲(ウェスト)が85cm以上
  • 脂質異常症・・・トリグリセライド(中性脂肪)が150mg/dl以上、HDLコレステロールが40mg/dl未満
  • 耐糖能異常・・・血糖値が100mg/dl以上
  • 血圧上昇・・・収縮期血圧が130mmHg以上または拡張期血圧が85mmHg以上
平成17年までの3年間に、285名(1,897名の15%)がメタボリックシンドロームになりました。


生活習慣との関連
研究開始時に調査した生活習慣により、3年間のメタボリックシンドローム発症者割合をグラフに示しました。運動習慣はアンケートの以下の二つの質問から、中等度(汗ばむ強さ)以上の運動を週に3日以上かつ週に合計90分以上実施している人と定義しました。

<運動の強さ>
1. 激しい運動 
2. 汗ばむような強さの運動 
 3. 軽い運動 
<運動の頻度> アンケートではアとイを尋ねました。
1週間の運動日数………  [   ](ア)日/週
1日あたりの運動時間…  [   ](イ)分/日
1週間の運動時間………  [   ](ア×イ)分/週
(1週間の合計時間はア×イの計算で求めました。)


また「健康的な食べ方」は、薄味を好む、ほとんど毎日朝食を摂取する、早食いをしない、満腹まで食べない、の4項目を以下の質問から判定しました。

「塩、しょうゆ、みそなどの味付け(塩味)は濃いほうを好みますか?」  1.薄い味が好き  2.濃い味が好き
「朝食を毎日食べていますか?」  1.ほぼ毎日食べる  2.毎日食べない
「食事は腹いっぱい食べますか?」 1.腹八分目に控える  2.腹いっぱい食べる
「食事を食べるスピードは?」    1.ふつう、または遅いほう  2.速いほう

グラフ1

生活習慣の組み合わせ
ところで、喫煙習慣の有無と、運動習慣の有無など、各々の生活習慣は互いに関連していることが予想されます。したがって、ある生活習慣とメタボの関連は、実際には、その生活習慣に関連する別の生活習慣とメタボの関連を間接的に見ているに過ぎない可能性もあります。
そこで、各々の生活習慣が本当にメタボリックシンドロームの発症に関連しているかどうかを他の生活習慣の影響を統計学的に考慮して調べました。

その結果、運動習慣がある人は、ない人に比べメタボリックシンドロームの発症リスクが0.42倍、健康的な食べ方に4つとも該当する人は3つ以下しか該当しない場合に比べ0.49倍、現在喫煙しない人は、それ以外の場合に比べ0.62倍、体重が安定していた人は、それ以外の人に比べ0.64倍しかないことがわかりました。


発症リスク予測チャート
この結果をもとに、生活習慣の組み合わせから、3年間のメタボリックシンドローム発症リスク(確率)を予測するチャートを開発しました。
なお、研究開始時の年齢と体重(肥満度)は、これら生活習慣とともに、将来メタボリックシンドロームになるかどうかを決める重要な要因ですので、このチャートには年齢と肥満度(Body mass index)も含めてあります。


合計点が出たら、下の表3から、メタボリックシンドローム発症リスク(確率)を求めることができます。

-例-

52歳Aさん、身長168cm、体重68kg(肥満度は24)。
運動はほとんどしない。朝食は毎日食べるが、早食い、満腹まで食べることが多く、味付けも濃いものが好き。





現在は、メタボリックシンドロームではないAさんですが、合計点は6点で、3年後に「メタボ」となる確率は30%です。



ウォーキングを平日の朝30分、始めることにしました。
汗ばむ程度の速さで歩くために、この時間内に2km以上歩くこととしました。
「でも、無理は禁物。」
張り切りすぎて体調を崩したことがある同僚から貴重なアドバイスももらいました。



まとめ
Aさんは「運動習慣あり」に変わりました。合計点も6点から10点です。メタボ発症リスクも10%と三分の一になりました。具体的な目標もでき、気力も十分です。朝早く起きるために、仕事を切り上げる時間も一定になってきて、疲れも軽減しました。運動習慣が定着したら、ゆっくり食べる事に取り組もうと思っています。
このチャートを使って、ご自分の現在そして近い未来の状況を客観的に眺め、今の生活習慣を見直すきっかけとなることを願っています。

ところで、このチャートは別の見方も可能です。調査時に0~7点(Aさんと同じ)だった人は、1,897人中525人(28%)でした。
メタボリックシンドロームになった285人中、152人(53%)はこの点数区分の人から出ています。
もしも0~7点の人が全て13点以上になったら、メタボリックシンドローム発症者が半減する計算になります。

生活習慣は、日々の地道な努力により改善します。心身ともに健やかな状態で、仕事、家庭そして社会で末永く活躍できるよう、気を付けたいものです。( 八谷寛、李媛英 )


[書誌情報]
Li Y, Yatsuya H, Iso H, Tamakoshi K, Toyoshima H.  Incidence of metabolic syndrome according to combinations of lifestyle factors among middle-aged Japanese male workers.   Prev Med.  2010; 51(2): 118-22.


["メタボリックシンドローム"の記事一覧]