2011年1月6日木曜日

健康習慣と健康度との関連

今回は、「健康習慣得点」と「健康度」という指標を独自に作成し、それらの関連を検討しました。解析上の都合により、男性のみ(2,594人)の結果を紹介します。

健康習慣得点と健康度得点
表1に示す8つの生活習慣について、その人が持っている良い習慣の数を健康習慣得点(8点満点)とし、不良群(0~4点)、中庸群(5~6点)、良好群(7~8点)の3群に分けました。




次に、表2に示す10の異常について、各異常が無い場合に1点を加算し、健康度得点(10点満点)としました。さらに、その点数を用いて健康度偏差値【(健康度得点-平均点)×10/標準偏差+50】を算出しました。




健康習慣を多く持つ人ほど健康度が高い
統計的手法を用いて、生活習慣不良群、中庸群、良好群の3群が同じ年齢だと仮定した場合の健康度得点の平均値(年齢調整平均値)を算出すると、同順に7.45点、7.53点、7.86点であり、多くの健康習慣を持つ人ほど健康度が有意に高い傾向が認められました。(図1)

次に、横軸を年齢、縦軸を健康度偏差値として健康習慣得点の3群の健康度偏差値のグラフを描くと、良好群は、全年齢層で他の2群に比して偏差値が高く、良い健康状態を保っていました。

また、対象集団の平均的な健康度である偏差値50に達する年齢は、良好群が不良群・中庸群より5-10歳遅いことが分かりました。(図2)


今回の検討により、基本的な生活習慣が健康度と密接に関連していることが分かりました。
この結果を、「健康には近道はない」と解釈するのか、「生活習慣を改善することが健康への近道だ」と解釈するのか分かれるところでしょう。
しかし、生まれてから数十年掛かって身についた習慣を急に変えることは容易ではありません。
「8つの生活習慣のうち、どれを改善するのが一番効率的に健康度を上げることができるのか?」という質問もありそうですが、変えることのできる生活習慣は個人によって違います。今回の結果は、その人にとって容易なものから一つずつ健康習慣を増やすことが良い健康状態に繋がること示唆しています。

行動科学の分野には「トランスセオレティカルモデル」という理論があります。
運動習慣を例にすると、現状を無関心期(運動習慣がなく、運動を始める意志もない)、関心期(運動習慣はないが、今後始める意志がある)、準備期(不定期だが運動をしている)、実行期(定期的に運動しているが、その習慣がまだ定着していない)、維持期(定期的に運動していて、習慣化している)の5段階に分類するというものです。
これは健康指導をする立場から、対象者がどの段階に属するのかを把握し、その段階に合った指導を行うことによって生活習慣を変えていくという理論です。

何事も理論通りに進めることは難しいのですが、今回の結論は「健康に近づくためには、裏道も抜け道もなく、普段からの地道な努力が大切」とします。(玉腰浩司)



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