2011年1月6日木曜日

喫煙と心臓病・脳卒中の関連性

健康増進法
皆さんもご存知の通り、平成15年5月1日より健康増進法が施行されました。
同法は、他人のたばこの煙を吸わされる、いわゆる「受動喫煙」を防止するために、学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設において、必要な措置が講じられなければならない、と定めています。同法の施行を機に、職場の建物内部が禁煙となった施設も多いと思われます。

喫煙者にとっては、ますます肩身の狭い時代になったわけですが、たばこは健康を阻害する最も強く、確実な要因ですので、喫煙する方も禁煙を真剣にご考慮頂くいい機会であると思われます。

タバコと病気
さて、タバコと病気というと、「肺がん」をその病名として思いつく方が多いでしょうが、喫煙は肺がんだけではなく食道がんや口腔内のがんなど実に多くのがん、狭心症や心筋梗塞といった循環器疾患、そして肺気腫などの呼吸器疾患の原因と考えられています。

今回は、平成9年に40歳以上であった愛知県内の二職域の勤労者8,678名における喫煙習慣と循環器疾患(心臓病と脳卒中)との関連を皆様にお知らせいたします。

研究を開始してから、平成13年3月末までに25名の方が心臓病(心筋梗塞または突然死)で倒れられ(うち10名が死亡)、14名の方が脳卒中に罹られました(5名は死亡)。

調査開始時点での喫煙習慣とその後の循環器疾患発症の危険性をオッズ比という指標、即ち、要因のある人はない人に比べて何倍発病しやすいかという指標に直し、下の図に示しました。

喫煙したことがない人を基準とした場合、1日1-14本、15-24本、25本以上のタバコを喫煙する人の循環器疾患発症リスクは、それぞれ2.4倍、2.8倍、3.4倍と上昇していました。
このことより、喫煙習慣と循環器疾患発症には明らかな関係があると考えられます。

禁煙と循環器疾患


一方、禁煙した方のオッズ比は1.1倍で、禁煙した方の循環器疾患発症リスクは、喫煙したことがない人と変わらないことが示されました。タバコを止めることは、循環器疾患の予防に大変重要なことと言えそうです。

禁煙方法


「禁煙」と言うのは簡単ですが、実際にやるとなると・・・。禁煙はなぜ難しいのでしょうか。
それは喫煙者がタバコに「身体的」にそして、「心理的」に依存しているからです。

身体的依存は別名「ニコチン依存」とも呼ばれ、禁煙中、ニコチンが体から抜けていくとイライラや集中困難などのニコチン離脱症状が発現することを言います。
これを克服するには、ニコチンを含む経皮パッチ、ガムなどのニコチン置換療法が有効と言われています。

一方、心理的依存は喫煙が生活習慣になり、気分やストレスを喫煙でコントロールしようとすることです。
このような心理的依存に対しては、周りからのサポートが重要といえます。
禁煙外来を受診し、医師あるいは看護師の個別指導、グループ療法、カウンセリング、抗うつ薬の併用などの方法を選択することも有用でしょう。また職場が禁煙あるいは分煙化されることも、個人の努力を支える力となるでしょう。( 八谷寛 )


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