2011年1月5日水曜日

ストレスと不眠

不眠とは?
不眠とは、寝つきが悪い(入眠困難)、夜中に何度も目が覚める(睡眠維持困難)、朝起きたときにぐっすり眠った感じが得られない(熟眠障害)などの症状が持続している状態をいい、その原因として、騒音や環境の変化、痛みなどの身体ストレス、精神ストレス、カフェインなどの自律神経系に作用する薬の内服などがあると言われています。

自治体職員の方々に平成14年に行ったアンケート調査では、「あなたは寝つきがわるいですか?」、「夜中に何度も目が覚めますか?」という質問に対し「はい」と答えた人は、男性でそれぞれ12.3%と20.3%、女性で14.3%と18.1%でした。
また、「めざめた時すっきりしない」と答えた人は男性の32.0%、女性の40.2%でした。

職業ストレスと不眠の関係
ストレスは不眠と大きく関わっていました。
不眠と関連が認められた職業ストレス項目としては、男女とも、仕事の裁量度が低い、職場の対人関係が悪い、仕事が自分に合わない、技能を活かせないことでした。女性では、職場の物理的環境が悪いことも不眠と関連していました。

また、男女とも、生きがいがあるかどうかはっきりいえない、自覚ストレスが多い、悩みの相談相手がいないことも不眠と関わっていました。
これらのうち一番強い関連を示していたのは自覚ストレスです。ストレスが「かなり多い」と答えた人は、「ふつう」と答えた人より男性で2.75倍、女性では3.19倍不眠のリスクが高くなっていました。
また、悩みの相談相手がいない人はいると答えた人より、男性で1.73倍、女性で1.88倍不眠を訴える割合が高くなっていました。

日本の別の職域で行われた調査でも、事務系労働者の不眠には職場の人間関係やストレスが関わっていたことが報告されています。

現在、不眠で悩んでおられる方へ
眠れない夜、無理に眠ろうとするとそれがかえってストレスになり不眠を助長することもあります。
就寝前はリラックスするようにつとめ、眠くなったらベッドに行くようにしたほうがよいでしょう。
不眠が長期間続く、或いは昼間に過度の疲労感や頭痛などがある場合、うつ病や睡眠時無呼吸症候群などの可能性もありますので、医療機関の受診をお勧めします。

ナポレオンはショートスリーパー、アインシュタインはロングスリーパーだったといわれるように、睡眠には個人差があります。
睡眠時間が長いからよいというわけではありません。大切なのは睡眠の質です。
以下は、米国国立衛生研究所が提唱する質のよい眠りのための5か条です。

より良い眠りのための5か条
①寝室の環境(温度、照明、騒音)を整える。
②就寝前にはカフェインの入った飲食物の過剰摂取、喫煙を避ける。カフェインやニコチンには神経を興奮させる作用があるからです。
③就寝前の過度のアルコール摂取や食べすぎは避ける。夜間に目覚めやすくなります。
④日中は適度に体を動かす。ただし就寝直前の激しい運動は避ける。
⑤就寝前は入浴、好きな音楽・香りなどでリラックスする。冷え性の方は手足を温めるだけでも効果があります。

相談相手を持つことが心身の健康状態を良好に保つ
最後に、相談相手の大切さについてです。
今回の調査で、悩み事がある時に相談相手がいないことも不眠と強く関連していることがわかりました。
家族や友人などからの有形・無形の援助をソーシャルサポートと呼びます。私たちの人生において避けることができないようなストレスが襲ってきた際に、心身の健康状態を良好に保つ上でのソーシャルサポートの重要性が指摘されてきています。
ひとりで問題を抱え込まないで、相談できる友人や先輩、家族を持つことは、ストレスと上手につきあうために必要なことのようです。

皆さんはストレスにどう対処していますか?(村田千代栄)


[書誌情報]
Murata C, Yatsuya H, Tamakoshi K, Otsuka R, Wada K, Toyoshima H.  Psychological factors and insomnia among male civil servants in Japan.  Sleep Med. 2007; 8(3): 209-14.


["ストレス"の記事一覧]



0 件のコメント:

コメントを投稿